結婚式を挙げないカップルが増えています。理由は一つではなく、数百万円単位の費用負担、コロナ禍で明らかになった契約や返金をめぐるトラブル、そして「式を挙げること」への価値観の変化が重なっています。式を挙げるか迷っているなら、最初に費用の内訳とキャンセル条件を確認し、少人数婚やフォトウェディングなど自分たちに合う形を比べることが現実的な第一歩です。
結婚式の費用はどこまでかかるのか
式場の見積もりでは、会場費、新郎新婦の衣装、料理、写真、演出などをすべて含めると約560万円になるケースもあります。人気の演出やドリンク飲み放題、フルコース料理などが含まれると、総額はさらに上がりがちです。一方で、演出を省き、衣装や写真のグレードを標準に下げることで、同じ式場でも約398万円まで抑えられた例もあります。
ここで重要なのは、最初に自分たちの予算を決めてから見積もりを比べることです。オプションは後から追加できるか、不要な演出を外せるかを確認しておくと、見積もり段階で金額に流されにくくなります。
結婚式が「当たり前」になった背景と、いまの変化
日本で結婚式が広く定着したのは戦後以降です。1980年代のバブル期には豪華な式が理想とされ、1990年代から2000年代にかけて結婚式場が大型化し、式を挙げることが社会人としてのけじめとも考えられるようになりました。2018年には市場規模が約6000億円を超えたともいわれます。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で延期や中止が相次ぎ、式場との契約をめぐるトラブルが表面化しました。これをきっかけに、「形式よりも気持ちを優先したい」「費用を新生活に回したい」と考える人が増え、結婚式を挙げない選択が以前より一般的になっています。
コロナ禍で目立った契約と返金のトラブル
感染拡大期には、結婚式の延期やキャンセルを希望するカップルに対し、契約上の「お客様都合」として見積もり額の50%を請求する式場もありました。無料で延期できる条件として「同じ曜日・同じ時間帯・同じプラン」が提示されても、土日はすでに埋まっていて実質的に選べない、というケースもありました。
さらに、全国展開する式場運営会社が破産し、前払いした契約金や中間金が戻らないまま式を挙げられない人も出ました。報道された事例では、負債総額が約25億円に上った会社もあり、支払い済みの費用が返金されない問題がSNSで広がりました。
式場を選ぶときは、キャンセル料が発生する時期と割合、延期の条件、支払いのスケジュール、運営会社の経営状況を契約前に確認しておくことが欠かせません。口頭の説明だけでなく、契約書にない特約は書面で残してもらうようにします。
結婚式を挙げない選択肢と、その考え方
結婚式を挙げない、いわゆるナシ婚には、大きく分けて次のような形があります。
- フォトウェディング:ドレスや衣装を着て写真だけを残す。式や披露宴を開かず、費用を抑えやすい。
- 少人数婚・家族婚:親やきょうだいなど限られた人数で会食や小さなセレモニーを行う。
- 入籍のみ:役所への婚姻届提出と指輪の交換、親への挨拶だけで済ませる。
費用を結婚後の生活や新婚旅行、新居の準備に回したいと考える人にとっては、こうした形のほうが負担が少なく、気持ちの整理もしやすい場合があります。一方で、親族の期待が強かったり、人生の節目としてのけじめを重視したりする人には、少人数でも式を開くほうが納得できるかもしれません。
式を挙げる場合に負担を減らす手順
結婚式を挙げると決めた場合、次の順番で進めると契約トラブルや不要な出費を減らしやすくなります。
- 誰を呼びたいか、何にお金をかけたいかを2人で優先順位をつける。
- 複数の式場から総額の見積もりを取り、内訳を比べる。
- 契約前にキャンセル料と延期条件を書面で確認する。
- 前払い金は最小限にし、支払い時期を分散できないか交渉する。
- 演出やオプションは後から追加できるか確認し、最初から盛り込まない。
注意したいのは、契約後に「やっぱり延期したい」となったとき、無料で変更できる範囲は思ったより狭いことです。見積もりが高いと感じたら、その場で決めずに持ち帰って比較するのが安全です。
式の形は、自分たちで選べる
結婚式を挙げない人が増えた背景には、費用の重さと契約のリスク、そして価値観の変化があります。式を挙げるにしても挙げないにしても、まずは総額とキャンセル条件を確認し、少人数や写真だけの形も含めて選ぶことが、後悔を減らす近道です。