2. 自分だけの遊びや挑戦を加える
作業そのものを面白がれない場合は、作業の中に遊びや挑戦を組み込む方法があります。仕事に遊びや挑戦を持ち込む行動は、プレイフルワークデザインと呼ばれ、楽しさを加える方法と、自分なりの競争や挑戦を加える方法に大きく分けられます。
たとえば、箱を棚に収納する作業なら「決められたスペースにできるだけ隙間なく収める」ことを目標にしてみます。箱の向きを変え、組み合わせを試す。うまく収まれば成功。慣れてきたらもっと難しい組み合わせに挑戦する。単純な片付けがパズルのようになります。
このとき参考になるのが、活動に深く没頭する状態の条件です。明確な目標、すぐに分かる結果、自分の能力に見合う挑戦があると、没頭しやすくなるとされます。速さだけを競う必要はありません。動きの組み合わせや続ける回数で難しさを変えてもいい。退屈なら条件を一つ加え、手に負えなければ条件を減らす。ゲームのルールは変えていいのです。
3. 感情の捉え方を変える
退屈に工夫を加えようとしても、緊張や不安があるとそれどころではないことがあります。まず、感情を隠すことと捉え方を変えることの違いを知っておくと役立ちます。
ある研究では、不快な映像を見る人に「表情に出さないように」と指示した場合と、「映像の捉え方を変えて感情を弱めるように」と指示した場合を比べました。どちらも外に現れる反応は抑えられましたが、不快な気持ち自体が弱まったのは捉え方を変えた場合でした。表情を抑えた場合には、体を活動的にする神経の働きがむしろ高まったとされます。
緊張する場面では、「落ち着いている」と言うよりも「ワクワクしている」と言い換える方が、本人の興奮が高まり、発表の評価も上がったという研究もあります。退屈な時間にも応用できます。たとえば「つまらない」と感じたとき、無理に大声で叫ぶ必要はありませんが、その作業を「自分なりの挑戦の場」と捉え直すだけでも、気持ちの質は変わることがあります。
4. 別の楽しみを組み合わせる
作業の中に楽しみを作るのが難しい場合は、その時間に別の楽しみを組み合わせる方法もあります。やるべきこととやりたいことを組み合わせる工夫は、テンプテーションバンドリングと呼ばれます。
たとえば、ジムで運動するときだけ続きが気になるオーディオブックを聞けるようにした研究では、開始直後のジムへ通う頻度が比較対象より高くなりました。ただし、この効果は時間とともに弱まり、特に休暇を挟んだ後には小さくなったとされます。短期間の後押しとして使うのがよさそうです。
応用するなら、皿洗いの時間に好きな音声作品を組み合わせ、その作業のときだけ聞くと決める。そうすると、次の皿洗いが「続きを楽しむ機会」にもなります。安全や集中に支障のない組み合わせを選び、両方に頭を使う場面では無理に重ねないことが大切です。
楽しむことを採点しない
ここまでの方法は、楽しみを作る場所がそれぞれ違います。作業の中に疑問や挑戦を作る方法もあれば、その時間に別の楽しみを組み合わせる方法もある。その作業を好きになれなくても、そこで過ごす時間に楽しみを乗せることはできます。
ただし、楽しさを強く意識しすぎると、かえって楽しめなくなることがあります。ある実験では、幸福を強く意識させられた人ほど、楽しい映像を見ても実際に感じる楽しさが小さくなったという結果が出ています。楽しむこと自体を義務にすると、「思ったほど楽しくない」と失望しやすくなるのです。
工夫しても合わないときは、その工夫を変えればいい。疲れた日は休んでいい。理不尽な環境を改善したり、その場を離れたりする選択も持っておく必要があります。楽しめなかったことを「負け」にしないことです。
知りたいことを作る、自分だけの遊びを加える、感情の意味を捉え直す、必要なら別の楽しみを組み合わせる。この4つは、退屈な時間を少し面白くするための手がかりです。仕事が早くならなくても、誰かに評価されなくても、自分が楽しかったなら、その時間は立派な成果として数えていいのではないでしょうか。