家の中の紙類が片付かないのは、見た目で重要度がわからないからです。洋服や食器と違い、紙は中身を読まないと判断できません。「重要」と書いてあっても重要でないものがあり、チラシのような紙が一番大事なこともあります。そのため後回しになり、気づけば引き出しに何年分もの封筒が残ります。
紙の片付けに必要なのは、一度に全部を読む作業ではありません。どの紙を何年置くか、残す基準と置き場所を先に決めることです。ここでは、今日中に手放せる紙と、再発行できないため特に注意したい紙を分けて整理します。
紙は「見た目」で判断できないから、基準を先に決める
紙は来月も届きます。一度きれいにしても、基準がなければ数カ月で元に戻ります。だからこそ、書類ごとに「残す年数」や「残す条件」を決めておくと、迷う時間が減ります。まずは、家計簿や手続きに使わない紙から手をつけます。
今日中に手放せる紙を分ける
レシートと公共料金の領収書
買い物のレシートは、家計簿に書き移す間だけ残せば十分です。食料品や日用品のレシートを何年も置いておく理由はほとんどありません。残すのは、返品や修理に関わる可能性がある高額な買い物だけです。家電、家具、眼鏡、修理の4つに絞り、それ以外は中身を見ずに束ねてかまいません。公共料金の領収書も、通帳や明細で確認できるため、1年分あれば足ります。
レシートの束を前から順に見ると途中で疲れます。残すものだけを抜き出し、残りは見ずにまとめるほうが早く終わります。
取扱説明書
分厚い説明書が棚の一段を占領していることも多いですが、今は多くの製品がメーカーのホームページで型番から確認できます。捨てる前に、本体のシールに書かれた型番を紙に控えるか、写真に撮っておきます。それができれば説明書そのものは不要です。ただし古い製品はメーカー側に情報が残っていないことがあるため、10年以上前のものは念のため残します。
残すと決めた説明書も、全部を保管する必要はありません。使い方の初めの部分と、困ったときの対処法のページだけを抜いておくと、かさばりません。
保証書
保証書は購入日と保証期間を見るだけで判断できます。多くの保証期間は1年、長くても5年から10年です。すでに期間が過ぎているものは、置いておいても使えません。また、手放した冷蔵庫や壊れて捨てた掃除機の保証書も、品物がないのに紙だけ残っている典型です。
残す保証書には、購入時のレシートを一緒にホチキスで止めておきます。保証書だけでは受け付けてもらえず、レシートとセットで必要になることがあるためです。
証明書のたぐい
保険の証券、住民票の写し、戸籍の謄本などは、たいてい再発行できます。保険会社に連絡すれば証券は再発行してもらえますし、住民票や戸籍も窓口で取得できます。古い住所のままの住民票の写しや、何年も前に取った戸籍の謄本は、使うときに新しいものを取ることになるため、手元に置いておく意味はありません。期限の切れた健康保険証も、返却方法や処分方法を一度確認してから手放します。
名前や住所、番号が載った紙は、そのまま古紙に出すのではなく、名前の部分だけ切り取って別の日に出すと安心です。細かく裁断する機械を買う必要はなく、それだけで十分です。
医療費控除と確定申告の書類
医療費控除の領収書は、確定申告で明細書を出す形になった後も、自宅で5年間保管することになっています。夫婦2人で1年に100枚を超えることもあり、5年分なら500枚ほどになります。それより古いものは置いておく理由がありません。封筒に年を書いて、直近5年分だけ残すと管理しやすくなります。
自営業や事業をしている方は、帳簿や書類の保存年数が申告の種類によって変わります。国税庁の案内を確認し、自分の場合の年数に合わせてください。
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再発行できない紙と、家族に伝える保管場所
年金手帳は新規発行が終わっている
年金手帳は令和4年4月から新しく作られなくなり、基礎年金番号通知書という1枚の紙に変わりました。ただし、すでに年金手帳を持っている人には通知書は発行されません。そのため、青やオレンジ色の手帳は、制度が変わったから不要というわけではなく、代わりがないため保管を続ける必要があります。タンスの奥や金庫の底など、思い当たる場所を一度確認します。
家や土地の権利に関する書類は再発行できない
家や土地の権利に関する書類、昔の言い方では権利証、今の言い方では登記識別情報通知と呼ばれる紙は、再発行の手続きがありません。手数料を払っても、手続きをしても、同じものを作り直すことはできません。
なくした場合、家を売れなくなるわけではありませんが、法務局から本人宛てに書留で通知を送ってもらい実印を押して返す方法や、司法書士に本人確認をしてもらい書面を代わりに出す方法を取ることになります。どちらも時間と費用がかかり、人の手を借りることになります。売買の約束をした後で見つからないと、大きな慌てにつながります。
この紙は、自分で使うよりも、相続の後で家族が使うことのほうが多い書類です。そのため、家族が存在と置き場所を知らないということが起こりがちです。
3つを1つの封筒にまとめる
年金手帳、家や土地の権利に関する書類、保険の証券。この3つだけは、1つの封筒か箱にまとめて保管します。そして、その置き場所を家族に一度だけ伝えます。中身を見せる必要はなく、「あの引き出しの茶色い封筒にまとめてある」と場所だけ伝えれば十分です。この一言があるかどうかで、残された人が家中の引き出しを開ける手間が大きく変わります。
通帳と契約書は「終わったら」で判断する
使っていない口座の通帳は、口座を解約しない限り捨てないほうが安全ですが、解約してしまえば通帳も不要になります。相続のときに手間がかかるのが使っていない口座なので、自分で閉じられるうちに閉じておくと、後の負担が減ります。
契約書は、契約が続いている間は残し、終わったら捨てます。賃貸借、携帯電話、保険、リフォーム工事などは、契約が終われば保管の理由がありません。ただし家の工事の書類だけは別です。給湯器を変えた年、屋根を直した年、外壁を塗った年は、次に直すときに業者から聞かれることが多いため、薄い1冊にまとめて表紙に家の図と修理年を書き込んでおくと役立ちます。
紙を減らした先に、1枚だけ増やす選択
ここまで紙を減らす話をしてきましたが、最後に1枚だけ、これから作っておきたい紙があります。遺言書です。令和2年7月10日から、自分で書いた遺言書を法務局で預かってもらえる制度が始まりました。手数料は3900円で、収入印紙で納めます。預ける先は、住んでいる場所や本籍地、所有する不動産を管轄する法務局です。
この制度を利用すると、亡くなった後に家庭裁判所で遺言書の中身を確かめてもらう検認の手続きが不要になります。残された方の手間が減るのが利点です。ただし、法務局は中身が正しいかどうかを確認してくれるわけではありません。書き方については、司法書士や行政書士に一度相談するのが確実です。
紙を減らす話の最後に1枚増やすのは、矛盾しているように感じるかもしれません。しかし、この1枚があることで、他の紙の意味や置き場所がはっきりし、残された人が迷わずに済むことにつながります。
書類整理は、全部を読んで判断することではなく、残す基準と置き場所を決めることです。今日はレシートや説明書、保証書など、手放せる紙から始め、再発行できない紙だけは家族に場所を伝える。完璧を目指さず、できる範囲で進めると、紙に振り回されない暮らしに近づきます。