布団に入って目を閉じても、昼間の会話や明日の予定が頭の中で再生され続ける。体は休んでいるのに、心の中だけが働き続けている。この「内側の仕事」をやめるには、考えを止めようと努力するのではなく、考えに付け加えている作業に気づくことが出発点になる。
考えすぎの正体は「最初の考え」ではなく「付け加えた作業」
不安や後悔が浮かんだときのことを思い出してみる。胸の奥がざわつく。その次の瞬間、何が起きているか。「この感じは嫌だ」「早く消えてほしい」と思い、別のことを考えようとし、うまくいかないと自分を責める。最初の不安は一つだったのに、そこに五つも六つも手を加えている。
たとえば、会議で同僚に言われた一言が頭から離れないとする。最初に浮かぶのは「あの言い方は何だったのか」という違和感だ。その後に続くのが「あの人は私のことをどう思っているのか」「このままだと関係が悪くなるのでは」という筋書きだ。苦しさの多くは、最初の違和感ではなく、その後に書き足した物語から来ている。
人間関係で「続きを書く」をやめる選択肢
考えに飲み込まれるのは、考えを放っておいた結果ではない。考えの中に入っていって、続きを自分で書いた結果だ。嫌な想像が浮かぶ。その先の展開を自分で書き足す。「最悪の場合」を想定し、さらにその先の対応まで考え始める。ここで選べる対応は、相手との距離を取ることだけではない。考えの続きを書く手を止めるという選択肢もある。
仮の例として、同僚の一言が気になっているなら、「先日の件、少し気になっているのですが」と直接確認する方法もある。ただし、相手との関係や職場の状況によっては、確認すること自体が新たな負担になる場合もある。安全に話せる関係かどうか、話したことで状況が良くなる見込みがあるかどうかを見極める必要がある。距離を置くことが常に正解なわけではなく、確認することが常に有効なわけでもない。