「生理がつらいので休みます」と伝えたとき、「私のほうがもっとひどい」と言われた経験はないでしょうか。あるいは、男性の上司にうまく伝わらず、我慢して出勤した日もあるかもしれません。生理痛のつらさは人によって大きく違うのに、職場では「理解してもらうこと」に重心を置きすぎると、かえって消耗します。ここでは、共感を得る前に整えたい伝え方と、休める仕組みについて考えます。
最近、生理痛を電気刺激で疑似体験させる装置が話題になりました。開発した学生たちのインタビューによると、当初の目的は男性向けの体験ではなく、女性同士の相互理解だったとされています。なぜ女性同士かというと、生理の重さを自分の経験だけで判断してしまい、他人のつらさを過小評価しやすいからです。実際、「女性の上司に生理で休みたいと伝えたら、『そんなの辛くない、私の方がもっとひどい』と言われた」という話は、この装置の開発過程でも出てきたといいます。痛みは言語化や数値化が難しく、自分の基準でしか想像しにくい。だからこそ、理解を求めてもすれ違いが起きるのです。
共感を強制するより、ルールで休めるようにする
この装置は商品化やSNSで広がる中で、「男性が受けるもの」という固定観念が強まりました。しかし、痛みを与えて理解させるという方法には、教育ではなく罰に近いという批判もあります。海外の労働・人権の考え方では許容されにくいという指摘もあります。ここで大事なのは、装置の善し悪しではなく、職場で生理痛を伝えるときの現実的な選択肢です。相手の共感を勝ち取ることをゴールにしないほうが、結果的に休みやすくなります。
状況別の伝え方と判断材料
伝える相手や制度の有無によって、選べる対応は変わります。たとえば、次のような言い方が考えられます。
- 同性の上司・同僚に伝える場合:自分の経験を基準にされやすいので、最初に「痛みの感じ方は人によって違う」と添える。例文(仮定):「私の場合、立っているのがつらい日があります。人によって症状は違うと思いますが、今日は休ませてください」
- 男性の上司・同僚に伝える場合:症状の詳細より、業務への影響と必要な対応を伝える。例文(仮定):「腹痛と吐き気で集中できないため、午前中休みます。午後から在宅で対応します」
- 生理休暇や体調不良休暇がある場合:共感を求めず、制度名を出して申請する。例文(仮定):「生理休暇を取得します。〇〇の業務は△△さんに引き継ぎます」
- 制度がない場合:上司に「体調不良時の連絡方法」を相談する。たとえば「月に1日程度、事前連絡なしで休める仕組み」を提案する。ただし、業務の性質や人員体制によっては難しいこともある。
伝え方を工夫しても通らないとき
相手との関係が悪い、パワハラ的な上司の場合、いくら丁寧に伝えても休みが認められないことがあります。その場合は、やり取りを記録に残す、人事や産業医に相談する、転職を視野に入れるなど、別の選択肢を検討します。距離を置くことが常に正解とは限りませんが、自分の体調を守るために選択肢を持っておくことは必要です。また、痛みを疑似体験させる装置を職場研修に導入することは、人によって体調や精神面への負担が大きく、安全面からも慎重であるべきです。共感を強制する手段に頼るより、休む権利と手続きを整える方が現実的です。
まとめ
生理痛を理解してもらおうと頑張りすぎなくていい。必要なのは、相手の共感ではなく、休めるルールと自分の伝え方です。制度がなければ、小さくても「体調不良時の連絡方法」を決めるだけでも変わります。共感は得られなくても、業務は回せます。まずは、今の職場で使える制度と、伝える相手に合わせた言い方を一つ用意してみてください。