大学3・4年生になると、授業とインターンシップの日程が重なり、どちらを優先するかで悩む場面が出てきます。ある大学教員の投稿をきっかけに、「インターンで欠席した分はただの欠席」という話が広がりました。内定が出ていても単位が足りなければ卒業できず、進路を諦めることになりかねません。ここでは、学生が板挟みになったとき、何を判断材料にできるかを整理します。
まず押さえたいのは、この問題は個人の怠慢だけで起きているわけではないということです。インターンの開始時期は7月から9月に集中し、その時期は大学の授業期間と重なります。つまり、どちらかを選ばなければ物理的に成り立たない日程があるのです。
授業とインターンが重なったとき、最初にできること
たとえば、7月に3週間のインターンが入り、週2回の必修授業と重なったとします。このとき、最初に確認したいのは「欠席の扱い」と「代替手段の有無」です。
- シラバスで欠席回数や成績評価の条件を読み直す
- 教授や担当教員に、重複する日程を早めに伝え、代替課題や別日程の有無を尋ねる
- インターン先の担当者に、授業と重なる時間帯の調整が可能か相談する
- 就職課やゼミの教員に間に入ってもらい、大学側と企業側の連絡を助けてもらう
仮の例として、教授に「この期間だけインターンが入ります。欠席の扱いと代替課題の有無を確認したい」と伝えるのは、対立を避けつつ情報を得る言い方です。企業側には「授業と重なる日程があるため、開始日や勤務時間の調整は可能か」と早めに相談すると、選択肢が広がる場合があります。
ただし、教授や企業の担当者との関係がこじれるのを避けたい場合、一人で交渉せずに第三者を挟むのが現実的です。また、心身の負担が強いときは、休学や単位取得の計画変更を選ぶことも、逃げではなく選択肢の一つです。
なぜ授業とインターンが重なるのか
この板挟みの背景には、大学の単位を発行する仕組みと、企業の採用方法の変化が関係しています。大学は単位の発行権を独占しており、その証明書を出すことで学費収入や社会的信用を得てきました。2000年代以降、国立大学の法人化が進み、教育サービスとしての収入が重視されるようになったと指摘されています。
一方で、企業は新卒を育成する余裕を失い、最初から実務経験のある人材を求める傾向が強まっています。長期インターンが増えているのは、その流れの一部です。学生は「学業を優先しなさい」と言われる一方で、企業からは「実務経験がないと採用しない」と言われる構造の中に置かれています。
大学の「研究機関」という看板と実態のずれ
文部科学省の令和4年度の報告として伝えられる数字では、大学教員の研究時間は平均で週10時間未満とされます。また、研究費の配分が上位大学に集中し、それ以外の大学では研究費を十分に得られないという指摘もあります。こうした状況では、多くの大学が「研究機関」としての役割を果たしにくくなっているという見方があります。
さらに、2021年の文部科学省調査として紹介される数字では、約7割の大学教員が「教育より経営が優先されている」と回答したとされます。リクルートの調査として伝えられる数字では、約5割の学生が大学での学びが将来役に立つとは感じないと答えています。これらの数字がそのまま全ての大学に当てはまるわけではありませんが、大学と学生の間にある期待のずれを示す材料にはなります。
学生が取れる現実的な対応
この状況で、学生が自分を守るためにできることは限られています。しかし、何も決めずに流されると、内定後に単位不足が発覚するリスクが高まります。
- 1・2年生のうちに必修科目の単位をできるだけ前倒しで取っておく
- インターンに応募する前に、大学の授業日程と重ならないか確認する
- 長期インターンを検討する場合は、休学やコース変更の制度を調べる
- 「学業か就職か」の二択ではなく、単位の代替手段や勤務時間の調整を先に探す
とはいえ、大学側が代替課題を認めない場合や、企業側が日程変更に応じない場合もあります。そのときは、卒業要件を最優先するか、内定を得るための実務経験を優先するか、自分の状況に合わせて選ぶしかありません。どちらを選んでも、後から「あのとき確認しておけばよかった」と思わないために、早めに情報を集めることが重要です。
大学と企業の間で消耗しないために
大学が「学生の人生より授業を優先している」と感じられる場面があるのは事実かもしれません。しかし、すべての大学や教員が同じではありません。授業の内容や制度は大学ごとに大きく異なります。自分の大学の就職課や学務課に相談すると、思っていたより柔軟な対応をしてもらえることもあります。
また、企業の採用が実務経験を重視する流れは、すぐには変わりません。だからといって、学業を軽視してよいわけでもありません。卒業できなければ、せっかくの内定も無効になりかねないからです。
結局のところ、学生一人で大学と企業の制度を変えることは難しいです。ただ、自分の進路に関わる情報を早めに集め、教授や担当者に具体的な日程を示して相談することはできます。板挟みの苦しさを「気合い」だけで乗り切ろうとせず、使える窓口や制度を一つずつ確認していくのが、現実的な身の守り方です。