毎朝、体にいいと思って甘酒を飲んでいる。その一杯が、砂糖不使用でも糖質の塊になっていることがあります。米麹甘酒はコップ1杯200mlで糖質がおよそ36g。角砂糖にすると9個ほどです。飲む量と時間、選び方を少し変えるだけで、甘酒の良さを残しながら毎日の糖分を減らせます。
まず確認したい、甘酒の種類と糖質の現実
甘酒には、米と米麹だけで作る米麹甘酒と、酒粕を湯で溶いて砂糖を足す酒粕甘酒の2種類があります。米麹甘酒の甘さは、麹の酵素が米のでんぷんをブドウ糖に分解して生まれます。砂糖を足さなくても甘いのはそのためです。
「飲む点滴」と呼ばれるのは、ブドウ糖やアミノ酸、ビタミンB群を含むからだとされます。しかし中身の大半は糖で、100gあたりのタンパク質は1.7gほど。病院の点滴は口から食べられない人に水分と糖を補うもので、食事の代わりにはなりません。コップ1杯の糖質は、ご飯を茶碗に軽く3分の2杯食べたのとほぼ同じです。
量を増やすほどいいわけではない
腸にいい、疲れにいいと聞いて1日2杯、3杯と飲む人もいます。米麹甘酒には麹由来のオリゴ糖が含まれ、腸内の善玉菌を助けると考えられています。ただ、腸内環境を調べた研究の多くは小規模な試験で、はっきりした結論はまだ出ていません。食物繊維も100gあたり0.4gほどです。
1日4杯飲むとおよそ640kcal。ご飯茶碗2杯半を超える量になります。腸のためなら量を増やすより、毎日少量を続けることのほうが現実的です。酒粕甘酒には食物繊維やタンパク質が多いという別の良さがありますが、製品によってはアルコールがわずかに残ることがあるため、運転前や妊娠中は米麹甘酒のアルコール0.00%表示を選びたいところです。
毎日の飲み方を変える3つの工夫
結論から示します。1日100mlを目安にし、空腹を避け、湯や炭酸水で割って飲む。この3つで糖質の負担を減らせます。
1日100mlを目安にする
湯のみ半分の100mlなら、エネルギーは約80kcal、糖質は18gほど。市販の小さな紙パックは125ml前後のものが多いので、1本を少し残すくらいがちょうどいい量です。その日の果物やおやつと合わせて、糖分全体で考えると無理なく続けられます。
湯や炭酸水で割る
濃い甘酒を同じ量の湯で割れば、1杯の糖質は半分になります。冬は湯割りに生姜を少々加えると体が温まりやすく、夏は炭酸水で割るとさっぱり飲めます。俳句の世界では甘酒は夏の季語で、江戸の町では暑さで弱った体を養う一杯として親しまれていました。冷たい炭酸割りは、そうした夏の飲み方にも合います。
温めると栄養が消えるという心配は不要です。麹の酵素は70℃を超えるあたりで働きを失うとされますが、酵素の仕事は甘酒ができた時点で終わっています。ブドウ糖やビタミンB群は残るので、寒い朝は湯気が立つくらいに温めてかまいません。沸騰させると香りが飛ぶため、鍋の縁に泡が立つ前で火を止めます。
空腹を避けて食事と一緒に
糖を食事と一緒にとると、血糖値の上がり方が緩やかになります。朝食のパンやご飯の合間に一口ずつ飲むと、甘さも食事の楽しみになります。夕食後のデザート代わりにするより、朝食か昼に飲むほうが1日の中で糖を使い切りやすいでしょう。血糖値が気になる人は、飲む量と時間を主治医や管理栄養士と決めてください。
買うときに見る3つの表示
- 米麹とアルコール0%の表示:材料が米と米麹だけなら酒粕甘酒ではありません。酒粕にはアルコールが8%ほど残っており、製品によっては甘酒にもわずかに残ることがあります。気になる人はアルコール0.00%やノンアルコールの表示を選びます。
- 原材料に砂糖がないか:米麹甘酒でも飲みやすくするために砂糖や果糖ぶどう糖液糖を足した商品があります。原材料は多い順に書かれるため、砂糖の文字が前の方にあるものは避けたいところです。砂糖不使用の表示があっても、糖質量は裏の栄養成分表示で確認します。
- ストレートか濃縮か:濃縮タイプは2倍に薄めて飲むものが多く、そのまま飲むと糖質も2倍になります。同じ500ml入りでも、濃縮なら薄めて1L分になるため、値段だけで比べないことが大切です。開封後は冷蔵庫に入れ、数日以内に飲み切るのが目安です。
甘酒に足りないものを補う組み合わせ
甘酒だけではタンパク質や食物繊維が少なめです。次の3つを組み合わせると、満足感を保ちながら栄養の偏りを和らげられます。
- 甘酒ときなこ:甘酒100mlにきなこ大さじ1でタンパク質が約2g増え、香ばしさも加わります。豆の食物繊維が糖の吸収を緩やかにすることも研究で示されています。きなこは蒸せやすいので、よく溶かしてから少しずつ飲むとよいでしょう。
- 甘酒と炭酸水:同量で割れば甘さが控えめになり、喉ごしも軽くなります。レモンを一切れ浮かべると酸味で甘さが引き締まります。冷やした甘酒50mlに炭酸水50mlは夏の水分補給にも向いています。コーラ350mlの糖質がおよそ39gであることを考えると、甘い炭酸飲料の代わりにすれば糖を大きく減らせます。
- 甘酒と抹茶:抹茶のほろ苦さが甘さを引き締めるため、少ない量でも満足しやすくなります。温めた甘酒100mlに抹茶を小さじ半分。少量の湯で溶いてから混ぜるとダマになりません。抹茶の香りは熱湯で飛びやすいので、甘酒は沸かさずに温めてから混ぜます。カフェインが含まれるため、寝る前の一杯には向きません。
よくある疑問への判断
糖尿病でも甘酒を飲んでいいか:量によっては血糖値が上がりやすい飲み物なので、自己判断で毎日飲むのは避けたいところです。飲むなら量と時間を主治医と相談してください。
手作り甘酒の保存期間:手作りは発酵が進みやすく、冷蔵で数日から1週間ほどが目安とされます。小分けにして冷凍すれば少しずつ使えます。作るときはご飯と米麹を60℃前後に保って発酵させます。温度が上がりすぎると麹の酵素が働かず、甘くなりません。
子どもに甘酒を飲ませてもいいか:米麹甘酒ならアルコールは入っていませんが、酒粕甘酒は避けたほうが安全です。甘いので量はコップ半分ほどにしておくとよいでしょう。
甘酒は「飲む点滴」でも、冬だけの飲み物でもありません。1日100mlを食事と一緒に、湯や炭酸水で割って飲む。明日の朝は、いつもの一杯を湯で半分に割ってみてください。それだけで1杯あたりの糖質は半分になります。