卵と豆腐だけでは筋肉が落ちる?40代・50代が知っておきたい「1食20g」の壁
健康・栄養

卵と豆腐だけでは筋肉が落ちる?40代・50代が知っておきたい「1食20g」の壁

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卵と豆腐は、安くて栄養のある食材です。だからこそ「これさえ食べていれば大丈夫」と思いたくなります。けれど40代以降は、たんぱく質の1日の合計量よりも1食あたりの量が問題になりやすい。健康のために始めた食事が、知らないうちに筋力を削っていた、ということが起こります。

ここでは、なぜ卵と豆腐中心の食事で筋肉が落ちるのか、何を足せばいいのかを整理します。なお、以下に挙げる数値や研究は、この話題で示されていた目安や報告です。すべての人に同じように当てはまるものではありません。

卵と豆腐は優秀。それでも「これだけ」では足りなくなる

卵はたんぱく質だけでなく、ビタミンやミネラルもまとめて取れる食材です。豆腐も良質なたんぱく質を含み、「畑の肉」と呼ばれる大豆の加工品です。どちらも、食事の中心に置く価値のある食品だと言えます。

問題は、それだけで1日に必要な量をまかなおうとすることにあります。卵1個に含まれるたんぱく質はおよそ6g、豆腐100gでは5g前後です。1食で20gに届かせようとすれば、卵だけなら3個以上、豆腐だけなら400g近くが必要になります。

「完全栄養食」「畑の肉」という言葉は、その食品が優れているという意味であって、それだけで1日の栄養が足りるという意味ではありません。ここを取り違えると、節約と健康を両立したつもりが、別のものを削ってしまうことになります。

筋肉のスイッチは1食ごとに入る

体は24時間、筋肉を壊しては作り直しています。壊れる量と作られる量が同じなら、筋肉の量はおおむね保たれます。逆に、作る側が止まれば、壊れる側だけが進みます。

この「作る側」のスイッチが入るかどうかを決めるのが、1回の食事でとるたんぱく質の量です。一定の量を超えれば合成が始まり、届かなければほとんど進まない。ここには中間がありません。19gでも16gでも、結果としては同じ方向に向かいます。

40代以降に起きる「筋合成抵抗」

若い体は、少ないたんぱく質でも筋肉の合成が始まります。ところが40代以降は、同じ量をとっても反応しにくくなります。これを筋合成抵抗と呼びます。古い車が同じ距離を走るのに多くの燃料を必要とするのに似ています。若い頃と同じ食事では、エンジンがかからなくなるのです。

そのため、1食あたり20g前後が一つの目安として語られます。ただし、これは年齢や体格、活動量によって変わります。15gで反応する人もいれば、25g必要という人もいます。目安として受け取り、自分の体調と照らし合わせるのが現実的です。

たとえば、ゆで卵2個(約12g)に冷やっこ(約4g)、白米(約4g)を合わせると、およそ16g。あと4g足りないだけに見えますが、この4gがスイッチの入り口をまたぐかどうかを分けます。

3食に分ける意味

夜にまとめて食べれば同じではないか、と思うかもしれません。しかし、スイッチが入るのは1回の食事ごとです。夜にまとめてとっても、合成が進むのはその1回だけ。朝と昼はスイッチが入らないまま、体を使う時間帯を過ごすことになります。

たんぱく質を3食に均等に配分したほうが、夜に偏らせるよりも筋肉の合成が進みやすかったという報告があります。テキサス大学が2014年に発表したデータとして紹介されていたもので、合成率が約25%高かったとされています。数値をそのまま当てはめることはできませんが、「回数と配分を見る」という方向性は参考になります。

見落としやすい骨の話

筋肉と一緒に気をつけたいのが骨です。カルシウムを骨に届ける役割を担うのがビタミンDで、これが足りないと、いくらカルシウムをとっても骨に運ばれません。

卵1個に含まれるビタミンDは、1日の目安量の4分の1にも満たない量です。豆腐や白米にはほとんど含まれていません。卵と豆腐中心の食事を続けると、筋肉と骨の両方が同時に弱っていく可能性があります。

50代で転倒し、大きな骨折をしたという例も紹介されていました。一般的にこうした骨折はもっと上の年代に多いとされますが、栄養状態によっては若い年齢でも起こりえます。骨折後の回復が生活に大きく影響することもあり、食事は筋肉のためだけのものではないと分かります。

何を足すか――現実的な組み替え

卵も豆腐も、やめる必要はありません。足りない分を足すだけです。

  • 朝:卵2個にギリシャヨーグルト1カップを足すと、合わせて22〜25g。午前中にスイッチが入ります。
  • 昼:卵と冷やっこの代わりにサバ缶を使うと、1缶で約26g。白米と合わせて30g前後になります。青魚の脂とビタミンDも一緒にとれます。
  • 夜:鶏むね肉100gで約23g。100gあたり60円台で買えることもあり、価格の面でも現実的です。舞茸と一緒に調理すると、舞茸の酵素の働きで身がやわらかくなります。鶏むね肉にはイミダゾールジペプチドという成分が含まれ、疲労回復との関連が紹介されることもあります。

3食で朝22g、昼30g、夜23g。合計およそ75gになります。以前が3食で50gほどだったなら、25gの差です。ただし、必要な量は体重や活動量で変わります。数値を目標にするより、1食ずつ「20gに近づける」感覚のほうが続きます。

費用は月に8000円ほど増えるという試算も紹介されていました。これを高いと見るか、後払いを避けるための出費と見るかは、置かれた状況によって変わります。すべてを一度に変える必要はありません。まずは朝だけ、あるいは昼だけでも構いません。

当てはまらない人、注意したいこと

  • 腎臓の病気がある人、たんぱく質の制限を受けている人は、自己判断で量を増やさず主治医に相談してください。
  • 持病がある人、服薬中の人、妊娠中の人も同様です。
  • 1食20gという数字は、研究の条件や対象によって幅があります。すべての人に当てはまる基準ではありません。
  • 筋力の低下が気になる場合は、食事の見直しだけでなく、医療機関で相談する選択肢もあります。

サプリメントで足す方法もありますが、まずは食事の形を変えるほうが、他の栄養素も一緒にとれます。

まとめ

卵と豆腐を食べ続けたこと自体が問題なのではありません。1食あたりの量と、3食への配分が足りていなかっただけです。明日の朝、いつものゆで卵にもう一品足す。それだけで、午前中の状態が少し変わるかもしれません。変えられない日があっても、続けられない方法は長くは持ちません。

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