皿の端に寄せた鮭の皮、そこに栄養が残っている
焼き鮭の身はきれいに食べても、皮だけは皿の端に残してしまう。子どもの頃からの習慣で、なんとなく「皮は油っぽくて体に悪い」と思っている人も多いかもしれません。しかし鮭の皮のすぐ下には、身よりも油の多い層があります。その油にはDHAやEPAが多く含まれているため、皮を残すことは栄養の一部を捨てることにつながります。
鮭の皮は、焼くことで身を包むように守り、旨味と油を中に閉じ込める働きをします。黒く焦げた部分だけを取り除き、皮はパリッと焼いて身と一緒に食べれば、無理なく魚の油を摂ることができます。皮の食感が苦手な場合は、焼いたあとに細かく刻んでご飯や和え物に混ぜると気にならなくなります。
鮭の皮を食べる理由は「油」と「守り」
鮭は白身魚の仲間です。身の赤い色は、餌のエビやカニに含まれるアスタキサンチンという色素が蓄積したもので、マグロのような赤身魚とは性質が異なります。白鮭は100gあたり約124kcalで脂質は控えめ。毎日の主菜に取り入れやすい魚といえます。
皮の下に集まっている油には、DHAやEPAが豊富に含まれます。魚の油については、中性脂肪を下げる方向に働くという研究が数多く報告されており、アメリカ心臓協会も脂の乗った魚を週に2回食べることを推奨しています。鮭の皮をパリッと焼いて食べることは、こうした油を日々の食事に取り入れる手軽な方法です。
パリッと焼くための3つのポイント
鮭を皮ごとおいしく食べるには、焼き方に少し工夫が必要です。フライパンを使うと、グリルよりも油はねが少なく、焦げつきも抑えられます。手順は次のとおりです。
- フライパンにクッキングシートを敷き、鮭の皮を下にして中火で焼く
- 皮がパリッとしたら裏返し、蓋をして3分ほど蒸し焼きにする
- 焦げた部分だけを取り除き、皮ごと盛り付ける
焼き上がりの皮は香ばしく、身のしっとり感との対比も楽しめます。北海道では、パリパリに焼いた鮭の皮がおつまみとして売られていることもあり、皮を食べる文化は地域によって根付いています。
塩分を抑えるなら「大根おろし」を添える
塩鮭を食べるときに気になるのが塩分です。甘塩の切り身1切れ(80g)の食塩量はおよそ1.4gで、1日の目標量の2割ほどに相当します。問題は鮭そのものより、上からかける醤油や食卓の漬け物、汁物にあることも多いです。
醤油は小さじ1杯で食塩がおよそ0.9gあります。かけるのをやめるだけで、塩鮭1切れ分の塩の半分以上を減らせる計算です。代わりに大根おろしを一山添えると、醤油をかけなくてもすっきりと食べられます。そこへ柑橘を少し絞れば、酸味のおかげで薄味でも物足りなさを感じにくくなります。袋の表示で食塩相当量を確認し、甘塩のものを選ぶのも有効です。
週に2〜3回、朝か昼に食べる
鮭は毎日食べなくても構いません。朝食か昼食に1切れ(80g)を週に2〜3回取り入れるだけで、魚の油とビタミンDを無理なく補えます。夕食ではなく朝や昼にするのは、1日の塩分を後の食事で調整しやすいからです。夜に漬け物や汁物が重なる家では、なおさら朝の鮭が理にかなっています。
朝に焼く手間が気になるなら、前の晩にまとめて焼いておく方法があります。ほぐして冷蔵庫に入れておけば、2日ほどのうちにおにぎりや和え物に使えます。冷凍の切り身も、冷蔵庫に移して6時間から半日ほどかけてゆっくり解凍すれば、旨味を含んだ汁が流れ出しにくくなります。
鮭と相性のいい食材を組み合わせる
鮭の栄養をさらに活かすには、一緒に食べる食材も意識したいところです。骨の健康を考えるなら、カルシウムを含む野菜との組み合わせが役立ちます。
小松菜
小松菜は100gあたりカルシウムが170mgと、同じ量の牛乳より多く含まれています。鮭のビタミンDはカルシウムの吸収を助けるとされており、骨にとっては2つで1組の組み合わせです。ほぐした鮭を茹でた小松菜と和えれば、5分ほどで一品になります。
舞茸
舞茸はキノコの中でもビタミンDが多く、100gあたり4.9μgを含みます。鮭と舞茸をホイルに包んで包み焼きにすれば、旨味も栄養も逃げにくくなります。舞茸は火に当てるとビタミンDが増えるという研究もあります。
キャベツ
北海道の郷土料理であるちゃんちゃん焼きは、鮭とキャベツを味噌で蒸し焼きにする料理です。キャベツには100gあたりビタミンCが41mg含まれます。味噌を控えめにし、キャベツの甘味で食べれば塩分も抑えられます。鮭一切れで野菜も1皿取れるのが利点です。
食べるときに気になること
鮭を食べる際によくある疑問について、知っておくと安心です。
スモークサーモンや鮭フレークでも同じか:手軽ですが、どちらも塩分が多くなりがちです。スモークサーモンは100gで食塩がおよそ3.8gあるため、量は少なめにしたいところです。
血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合:普段の食事で鮭を食べる程度なら問題になることは少ないとされています。ただし魚の油のサプリメントを追加する場合は、必ず医師に相談してください。
痛風が気になる場合:鮭のプリン体は100gで120mg前後と、魚の中では多くない部類です。医師に止められていなければ、一切れ程度なら気にしすぎる必要はありません。
小骨が心配な場合:切り身の中ほどや腹の部分には細い骨が残っていることがあります。焼く前に指でなぞり、骨抜きで抜いておくと安心です。
鮭の皮は残すものではありません。皮ごとこんがり焼いて、甘塩を選び、週に2〜3回食べる。それだけで、いつもの一切れをより役立つものにできます。次に焼き鮭を食べるときは、皮を一口味わってみてください。香ばしさとともに、これまで捨てていた栄養に気づくはずです。