押入れの上段を占める来客用布団の現実
押入れの上段を開けると、敷布団と掛け布団、枕が2組、3組と積み重なっています。最後にその布団で誰かが眠ったのはいつだったでしょうか。お正月かもしれませんし、もう何年も前のことかもしれません。
押入れの上段は、多くの家で高さが1m前後あり、目線の高さでいちばん出し入れしやすい場所です。その場所を、年に数日しか使わない来客用布団が占領しています。仮に年に2晩、お正月とお盆にだけ使うとすると、布団が押入れで待っている夜は1年のうち363晩。10年では3630晩になります。1晩使うために、180晩以上も押入れのいちばんいい場所を貸している計算です。
使わなくても布団は傷んでいく
布団には寿命の目安があります。日本布団協会の案内では、綿の布団はおよそ3年から5年、羽毛の布団はおよそ7年から10年が目安とされています。布団は使っていなくても湿気や埃を吸い、少しずつ傷んでいきます。押入れで10年待った布団は、見た目はきれいでも中綿がへたっていたり、匂いがこもっていたりすることがあります。
久しぶりに泊まりに来たお客さんに、その布団を敷くことになるかもしれません。かつては盆や正月に親戚が泊まりがけで集まり、座敷いっぱいに布団を敷くのが当たり前でした。でも今は泊まりに来る人の数も泊まる夜数も少なくなり、近くのホテルに泊まる親戚も増えています。暮らしが変わったのに、布団の数だけが昔のまま残っていることが多いのです。
来客用布団を減らす3つの方法
来客用布団をどうするかは、次の3つの方法から選べます。
- 1組だけ残す:2人以上泊まる時だけ、ほかの方法を考える。年に数回しか来ないなら、1組あれば足りることが多い。
- レンタル布団を利用する:来客の日に合わせて清潔な布団を届けてくれる店があります。使い終わったら引き取りに来てくれるので、しまう場所も干す手間もいりません。料金は店や布団の種類によって違いますが、1組の短期レンタルで3000円から7000円ほどが目安とされています。
- 近くの宿を一緒に探す:泊まる人数が多い時は、宿を提案するのも選択肢です。
どの方法を選んでも、お客さんが眠るのはいつも清潔な布団になります。そして押入れの上段に、半分の空きが戻ってきます。
同じように押入れを埋めているものを見直す
来客用布団のほかにも、押入れを埋めているものがあります。どれも「いつか使うかもしれない」と思って残しているものですが、使う頻度と場所の広さが見合っていないことが多いのです。
座布団の山
押入れの下段に、座布団が10枚ほど紐でくくって重ねてあることがあります。工事やお正月に親戚が集まった時のためですが、今集まる人数は3人か4人ということも増えています。綿の座布団は長く重ねたままにしておくと、下の方から湿気を吸って硬くなり、いざ出すとかび臭さが気になることもあります。実際に集まる人数に1枚か2枚足した数だけ残し、晴れた日に外で風に当てると、下段に手が届く余白が生まれます。
毛布とタオルケット
厚い毛布、薄い毛布、電気毛布、膝かけ、夏のタオルケット。数えると家族の人数よりずっと多い枚数が押入れに積まれています。1人が1晩に使う毛布は多くても2枚です。毛布は重く、畳むと座布団3枚分ほどの高さになることもあります。季節ごとに1人1枚と予備1枚だけにすると、押入れの高さがぐっと低くなります。古い電気毛布は、使う前にコードやコントローラーに痛みがないか確認し、説明書に従って点検してください。残った毛布は、地域によっては動物の保護施設などで引き取ってもらえることもあります。
布団の圧縮袋
掃除機で空気を抜くと布団が薄くなる圧縮袋。しまった日は驚くほど薄くなりますが、1か月も経つとどこからか空気が入り、布団は元の厚さに戻っていきます。袋の口が緩んでうまく閉まらないものも、押入れの隅にいくつも残っていることがあります。圧縮袋は空気が通らないため、布団がしっかり乾いていないと湿気が袋の中に残ります。羽毛布団のように強く圧縮すると傷みやすいとされているものもあります。圧縮しなければ入らないほどの量なら、その量そのものを見直す合図かもしれません。
ひな人形と五月人形
押入れの奥に、大きな箱がいくつか重なっていることがあります。子どもが生まれた時に祖父母が送ってくれた人形です。子どもが大きくなり家を出てからは、箱を開けることがなくなったという家庭も少なくありません。人形は湿気や虫に弱いので、しまいっぱなしは傷みの原因になります。手放すのが難しい場合は、今年もう一度飾ってみる、次の世代に受け継ぐ、人形供養を利用するという道があります。どの道を選んでも、それは人形を大切にする選び方です。手元に残すと決めたなら、年に1度は箱を開けて風を通してください。
古いアルバムと写真
押入れの奥に分厚いアルバムが何冊も立ててあり、その横に現像した写真を封筒に入れたままの箱があることもあります。写真は手放す必要はありませんが、押入れの奥で箱に入ったままでは誰にも見られていません。封筒のままの写真を1つの箱にまとめ、年代ごとに分けて箱の蓋に「何年頃」と書いておくと、探しやすくなります。特に好きな写真だけを小さなアルバム1冊にまとめるのもいい方法です。写真の整理は1人でやらず、家族と一緒に「これどこだっけ」と話しながら進めると、片付けが思い出話の時間になります。
天袋の箱
押入れの上の天袋は、踏み台がないと手が届かない小さな収納です。そこに何年も前にしまった箱がいくつか並んでいて、中に何が入っているのかすぐに言える人は少ないでしょう。天袋は出し入れが面倒な場所なので、使う頻度の低いものほど奥に追いやられがちです。中身を確認し、もう使わないものは地域の分け方に合わせて手放すと、天袋の圧迫感が減ります。
押入れの場所は「使う頻度」で決める
来客用布団をどうするかは、それぞれの家庭の事情によって違います。年に何度も泊まり客がある家では、布団を複数組持っていたほうが安心かもしれません。でも年に2晩だけのために、押入れの上段を布団に貸し続けるのは、場所の使い方としてもったいない面があります。レンタル布団や近くの宿を組み合わせれば、布団を減らしても急な来客に対応できます。
無理に全部を手放す必要はありません。まずは1組だけ残す、座布団を実際の人数に合わせる、毛布を1人1枚にするなど、できるところから試してみてください。押入れの上段に空きができると、毎日使うものが出し入れしやすくなり、掃除もしやすくなります。来客用布団の本当のコストは、年に数日のためではなく、残り363日も場所を占めていることなのかもしれません。