24時間断食と36時間断食、脂肪燃焼は2倍になるのか──代謝の変化を同じ時計でたどる

24時間断食と36時間断食、脂肪燃焼は2倍になるのか──代謝の変化を同じ時計でたどる

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夜8時に同じ夕食を終えた二人がいるとする。一人は翌日の夜8時、ちょうど24時間で食事を再開し、もう一人はさらに12時間、翌朝まで何も食べない。断食の長さは12時間しか違わないのに、体の内側では何が変わるのか。脂肪の燃焼量が単純に1.5倍になるわけではない。むしろ、燃料を使う割合が少しずつ深くなっていく。その違いを知ると、「限界点」という言葉が必ずしも一つの時刻を指していないことが見えてくる。

断食を理解するうえでまず押さえたいのは、体は一つの燃料から次の燃料へ、ある時刻にぱっと切り替わるわけではないということだ。12時間や16時間でスイッチが入るのではなく、時間とともにブドウ糖、脂肪酸、ケトン体を使う比率がゆっくり変わる。これは24時間と36時間を比べるときの前提になる。

最初の18時間はほぼ同じ道

夕食後、血液中のブドウ糖が増えると、膵臓はインスリンを出す。肝臓はすぐに使わない糖の一部をグリコーゲンとして蓄える。グリコーゲンは、食事が来なくなったときに取り出せる非常用の蓄えだ。朝食を抜くと、新しい糖が入らないためインスリンは下がり、肝臓はグリコーゲンを分解して血糖を保つ。この段階では脂肪だけを燃やしているわけではなく、ブドウ糖も脂肪酸もケトン体も、少しずつ使われている。

18時間を過ぎるあたりから、脂肪組織から脂肪酸が出る量が増えてくる。脂肪酸は筋肉などで燃料として使われ、肝臓に運ばれた一部はケトン体に変わる。同時に、肝臓のグリコーゲンが減ってくると、糖新生という働きが重要になる。乳酸やグリセロール、アミノ酸などから必要な糖を作り、赤血球のように糖を必要とする細胞へ届ける。断食中でも体が糖を完全に使わなくなることはない。

24時間で分かれる二人

24時間時点では、インスリンは食後より低く、肝臓のグリコーゲンへの依存は最初よりかなり小さい。その代わり糖新生の役割が大きくなり、脂肪酸の利用も進み、ケトン体も増え始めている。つまり24時間は脂肪燃焼が初めて始まる地点ではなく、すでに燃料の配分が大きく変わった地点だ。

ここからさらに12時間続けた場合、遊離脂肪酸とβ-ヒドロキシ酪酸という代表的なケトン体は増えやすくなる。糖新生への依存も深まる。だが、36時間になった瞬間に全く別の代謝モードに入るわけではない。違いは新しいスイッチではなく、同じ仕組みを使う割合の深さにある。

脂肪を多く使うことと健康効果は別

ここが比較をするうえで見落としやすい点だ。脂肪をたくさん使っていることと、健康効果が大きいことは同じではない。36時間断食を調べた人の研究では、空腹時の血糖とインスリンが短い絶食時より低くなった一方で、末梢組織のインスリン感受性が一時的に低下していたという結果もある。肝臓ではまた違う方向の反応が見られ、インスリンが低いからといってすべてが良くなるわけではない。

理由の一つとして考えられるのは、燃料を使う場所の分担だ。食べ物が来ない時間が長くなると、筋肉は糖を節約し、脂肪酸を使う割合を増やす。これは食べ物が来ない状況に合わせた一時的な代謝の応答で、単純に「代謝が良くなる」とも「悪くなる」とも言い切れない。別の小規模な研究では、36時間断食後に脂肪利用が増えていても、運動を続けられる時間が短くなったという報告もある。脂肪を多く燃やしているから体力も高い、とは限らない。

限界点は一つではない

グリコーゲンで見れば、最初の24時間はかなり大きな転換区間だ。糖新生で見れば、20時間台から40時間台へ進むほど重要になる。ケトン体で見れば、36時間を超えてもさらに上がる余地がある。脂肪酸の利用も、36時間になった瞬間に最大になるわけではない。24時間は完成地点ではなく、36時間も最大地点ではない。

同じ24時間でも、全員が同じ場所からスタートしているわけではない。前日に長く歩いて夕食の糖質が少なかった人と、ほとんど動かず夕食をしっかり食べた人では、肝臓に残る燃料も体感も変わる。年齢、筋肉量、睡眠時間、普段の食事、仕事や家族との食事時間も無視できない。36時間を比較的楽に過ごせる人がいる一方で、集中力が落ちる人もいる。

試すなら時間より生活との相性を

いきなり24時間や36時間を目標にする必要はない。まずは夕食を終えてから翌朝まで12時間開けてみる。夜8時に食べ終えたなら、朝8時まで食べないだけで12時間だ。問題がなければ14時間、16時間と延ばし、空腹感、集中力、睡眠、翌日の体調を確認する。24時間はその先にあり、36時間はさらに先の段階だ。数字の長さを達成することより、自分の生活の中で無理なく試せるかを見る方が大切になる。

ただし、長時間断食を避けたほうがいい場合もある。糖尿病でインスリンや血糖を下げる薬を使っている人は、自己判断で長時間断食をすると低血糖や脱水の危険が変わる可能性がある。妊娠中、授乳中、摂食障害の経験がある人も注意が必要だ。持病がある人や治療中の薬がある人は、医療専門家に相談してほしい。

24時間から36時間へ進むと、脂肪酸やケトン体、糖新生への依存は深くなる。だが、36時間になった瞬間に現れる魔法の境界線はない。代謝の限界点は指標によって異なり、体は複数の燃料を重ねて使いながら、その割合を変え続けている。だからこそ、長い時間を達成することより、目的と体調と暮らしに合う長さを選ぶことが出発点になる。

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